シリーズ「事業承継」その2:「自社の現状を正しく知る」とは?
前回、「まずは『今、自分の会社がどんな状況にあるのか』を知ることから始めること、これが大事」とお話ししました。では具体的に何をしたらいいのか?やるべきことは「定款の見直し」「株式の内容チェック」「許認可の確認」の3つです。以下、一つずつ説明します。
まずは「定款の見直し」です。定款は、いわば「会社の憲法」と言えるもの。「事業目的が現在の事業内容に合っているか」「 取締役や株主総会の決議ルールに無理がないか」「 株式の譲渡制限に関する規定がどうなっているか」等、見直す必要があります。特に、「創業時に定款を作成して以降、一度も見直しをしていない」という会社も多く、現在の状況にはそぐわない内容のものもあります。そのままにしておくと「息子に会社を譲れない」などと言うことになりかねません。
次は、「株式の内容チェック」です。①株主名簿の確認をしましょう。誰がどれだけ株を持っているか、確認が必要です。創業時に「名義だけ株主になってもらっていた」ような場合、特に重要です。②黄金株(拒否権付き株式)はありませんか。「黄金株」とは、特定の重要事項に対して拒否権を与える株式です。この株式が存在すると、後継者がスムーズに経営できない可能性があります。③優先株(配当優先、議決権制限株式など)が発行されている場合、その内容と目的を把握しておくことが必要です。このような状況なら、株主名簿の確認と特使株式の整理は必須です。
三つめ、建設業・宅建業・産廃業・飲食業など、許可を取って初めて営業できる業種では、「名義」「役員」「所在地」などの変更によって、以下の手続きが必要になります。具体的には、「名義変更や役員変更の届出」「事業譲渡や法人変更に伴う新規取得」「承継時に許可が失効するリスク」などがあげられます。承継後に「知らなかった」では済まず、営業停止になりかねないため、早めの確認が不可欠です。そして実はこれ、行政書士の得意分野です。
「自社の現状を正しく知る」ことで、会社の中身が整理することができます。それは、事業承継の難易度を左右する、と言っても過言ではなく、また、整理することで、後継者の負担は大きく変わります。「うちは大丈夫かな?」と思ったら、一度専門家と一緒に確認してみましょう。行政書士にご依頼いただいたらチェックリストを作るところからお手伝い出来ます。
次回は、具体的な承継のお話し、まずは「親族内承継」についてご説明いたします。